日本ポラリティセラピー協会

Japan Polarity Therapy Association

ポラリティーセラピーの理論

“Energy is the real substance behind the appearance of matter and forms.”
(エネルギーは、物質と形態の姿の背後にある真の実体です。)

Dr.ストーンのこの言葉が、ポラリティセラピーの真髄です。目に見える肉体の背後にあるエネルギー。見たり聞いたり触ったりできるものの背後にあるエネルギー。目に映る状況や現象の背後にあるエネルギー。エネルギーを感じ、見、知ることで、ものごとの本質をとらえることができます。エネルギー的な視点は、私たちを深淵な知恵に導いてくれます。

3つの体:肉体・感情体・思考体 
人間は「魂」という、宇宙の源から分化したひとつの完成されたエネルギー体であり、地上に生きている間は、「肉体」「感情」「思考」という3つの異なったレベルのエネルギーの複合体として存在すると考えます。言い換えると、私たちは、「肉体」「感情体」「思考体」という3つの体が合体したエネルギーシステムです。3つの体は互いに重なり合っています。肉体と心と思考に密接なつながりがある所以です。

エネルギーの滞り(エネルギーブロック)は、怪我、難産、手術などの肉体レベルが原因のこともあれば、怒りや恐怖などのネガティブな感情エネルギーのためこみや、精神的ショックなどが原因のこともあります。原因が肉体レベルだったとしてもエネルギーブロックは肉体だけでなく、感情体や思考体に影響を及ぼします。例えば、頭を強く打撲して、頭蓋骨の圧縮がおきると、怒りっぽくなったり鬱になったりすることがあります。
逆に、精神的ストレスから体調を崩すなど、感情的・精神的なエネルギーブロックは肉体に影響を及ぼします。
肉体レベルの滞りもあれば、感情体レベルあるいは思考体レベルの滞りもあるということは、事故による傷は癒えても、事故にまつわるネガティブな感情が解消されないと心身に不調が残るということもあるわけです。

多くの場合、エネルギーブロックは、肉体・感情・思考のすべてに結びついています。例えば子供の頃いじめにあった人は、「首・肩の緊張」と「恐怖心」と「他人は私を傷つけるという思い」が3点セットになっています。ポラリティ・ボディワークで体の緊張がほぐれると、同時に恐怖心が体から出ていき、他人は危険という思い込みから解放されやすくなります。肉体だけでなく、感情体や思考体のエネルギーブロックも解放に向かうからです。

「肉体」「感情体」「思考体」、人間のすべての部分にエネルギーがくまなく持続的に流れることが健康の秘訣です。エネルギーの流れが良くなると、浄化がおこり、3つの体のエネルギーの質が精妙になっていきます。これにより、健康の促進のみならず霊的成長が促されます。

チャクラシステムと3つの流れ
人間の基幹となっているエネルギーシステムは、ウルトラソニックコア(スシュムナ)と呼ばれる頭頂から尾骨にいたるエネルギーの軸にあるチャクラシステムです。チャクラは変圧器のような働きをするエネルギーセンターで、そこを通るエネルギーの波動を上げたり下げたりします。チャクラに入ってきたエネルギーは、そのチャクラに固有の波動に調整されて出ていきます。その結果、異なった波動、つまり異なった性質のエネルギーが全身にゆきわたります。それが、「地」「水」「火」「風」「空」の5つのエレメントです。ですから、心身の健康はチャクラの機能の良し悪しにかかっているといえます。

ウルトラソニックコア(チャクラシステム)から生じるエネルギーの流れには3種類あり、「トランスヴァース・カレント」「スパイラル・カレント」「ロングライン・カレント」と名付けられています。ポラリティ・ボディワークで使う3つのタッチ「サットヴァタッチ」「ラジャスタッチ」「タマスタッチ」は、それぞれの流れに対応しています。

「サットヴァ」「ラジャス」「タマス」は3つのグナと呼ばれる、エネルギーの状態を表す言葉です。サットヴァは中性(バランスのとれた静止)、ラジャスは陽性(遠心性の拡張)、タマスは陰性(求心性の収縮)を意味します。エネルギーは、とどまることなくサットヴァからラジャスに、そしてタマスになり、サットヴァに戻るという変化を繰り返します。これはエネルギーの普遍的な性質です。日常生活でこのサイクルがスムーズに繰り返されるのが健康な状態です。過度のラジャスや過度のタマスに陥らないように心がけ、サットヴァな状態に戻ることが大切です。

3つの極 
「ポラリティ」とは、「極性」を意味します。磁石の磁場に+と―があるように、地球の磁場に北極と南極があるように、人間の磁場にも極性があります。正と負の両極とともに、平衡点(中性)を含めた3つの極の関係性を論じている点がポラリティセラピーの特徴です。

基本的には、頭が+、足が―、へそが中性。また、エレメントのトライアッド(3つ組)の概念では、それぞれのエレメントが司る体の部位に、+、-、中性の極性があります。ボディワークでは、+と―、+と中性、-と中性の極を繋ぐ手法が用いられます。 
「極性はすべての被造物にある三位一体の本質とエネルギーの原則である。」というDr.ストーンの言葉は、非常に示唆に富んだ言葉です。

5つのエレメント 
自然界のすべてのものと同様、人間も5つのエレメント(元素)から成っています。「空」「風」「火」「水」「地」の5つです。仏教では五大と呼ばれています。それぞれのエレメントの特性は、肉体・感情・思考に反映されます。そして、健康のカギはエレメントのバランスをとることにあります。バランスがとれているとき、特性のポジティブな面が表れます。エレメントの過不足は心身にネガティブな影響を与えます。 
また、心身の不調の部位や種類から、どのエレメントに過不足があるか、不調の原因は何か、治癒するには何が必要かなどを自分自身で知ることができます。

「空」のエレメントは、空間、自意識、自己表現、コミュニケーションなどを司ります。チャクラは第5チャクラ(喉)。
空のエレメントは私たちに宇宙の無限性、調和、静けさや安らぎをもたらしてくれます。宇宙とのつながりがしっかりしていれば、宇宙の一員としての自分の存在を無条件で認められます。のびのびと自分らしく生きる喜びの源です。
肉体:関節、首、髪、声帯、甲状腺、他。
感情:喜び ⇔ 悲しみ
思考:平和的、協調的、中立、静か、自尊心。

「風」のエレメントは、気体、動き、理性などを司ります。チャクラは第4チャクラ(ハート)。
「風」は、自由な動き、軽やかさ、豊富なアイディアや変容をもたらしてくれます。ハートが開いていると、愛を送り愛を受け取ることが自然にでき、幸せな人間関係に恵まれます。 
肉体:ガス、肩、腎臓、足首、呼吸器系、神経系、循環系、皮膚系、他。 
感情:慈愛 ⇔ 欲望
思考:合理的、論理的、素早い。

「火」のエレメントは、熱、力、方向性などを司ります。チャクラは第3チャクラ(へそ)。
「火」は、希望と、明確な意思を持って力強く生きるバイタリティをもたらしてくれます。決めたことを行動にうつす実行力や、困難を克服し前進していく精神力は、人生を活気と情熱で満たします。
肉体:体温、メタボリズム、体力、頭、目、消化器系、腿、他。
感情:怒り ⇔ 許し
思考:率直、洞察力、集中力、熱心さ。

「水」のエレメントは、液体、感性、感覚、受容、創造などを司ります。チャクラは第2チャクラ(下腹)。
「水」は快感や楽しさをもたらしてくれます。他人を受け入れ、慈しみ育てることを通して、豊かな感情生活を楽しむことができます。ありのままの自分を受け入れ、しなやかに変化しながら、流れにのって、創造的な人生をすいすい進むことができます。
肉体:血液、体液、汗、涙、保湿、むくみ、胸、足、生殖器系、内分泌系、他。
感情:手放す ⇔ 執着
思考:感覚的、直感的、流動的、ロマンチック。

「地」のエレメントは、固体、安定、支え、実在、収縮、結晶化などを司ります。チャクラは第1チャクラ(尾骨)。
「地」は、ゆるぎない安定、安心感や勇気をもたらしてくれます。肉体を持ってこの世に生きていることを存分に味わえます。ものごとを途中で投げ出してしまうことなく、達成することができます。地球のエネルギーとしっかりつながると、過ぎ去ってしまった過去やまだ存在しない未来に振り回されることなく、「今、ここ」に意識を定めて、人生を実り多いものにすることができます。
肉体:首、結腸、膝、筋系、骨格系、排泄、他。
感情:安心 ⇔ 恐怖
思考:現実的、堅実、実用的、落ち着き。

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Dr. ランドルフ・ストーン(1890~1981)
オーストリア生まれ、8歳の頃に家族と共にアメリカに移住。ルーテル派の大学へ進む奨学金を貰って牧師になるつもりでしたが、医療で人を助けることを決意し、医者になりました。取得した医療資格はオステオパシー、カイロプラクティック、自然療法など、薬や手術に頼らない医療です。シカゴで開業したDr.ストーンは、一度治った患者が舞い戻ってくるのを見て、完全に治すにはどうしたらよいか、古今東西の医学を研究し、「何であれ、効くものは良い!」をモットーに、西洋医学だけにとらわれない診療で多くの患者を集めました。

1947年に、『エネルギー〜ヒーリングアートにおける生命のポラリティ〜』と題する最初の本を皮切りに、1954年までに計7冊の本を出版し、その中でエネルギー(気)の概念が治癒の鍵を握っていることを説き、手技 によってエネルギーの流れを回復させる方法を発表しました。

Dr.ストーンが論じていたことは、今で言う波動医学です。治療ではなく治癒(ヒーリング)を目指した点や、人間を統合的エネルギーシステムととらえた点、そしてヒーリングの中心に精神性を置いた点等が、従来の医療の考え方と全く異なるところであり、これは、ごく最近になって世界中で提唱され始めたホリスティック医療の先駆けと言えます。
彼の考えは1950年代のアメリカ医学界には新しすぎて受け入れられませんでしたが、1960年代に入ると、精神性と健康を目指す人々から圧倒的な支持を得るようになりました。Dr.ストーンはすでに70代でしたが、各地で講演会や教育活動を精力的に行いました。その後、1974年に84才で引退してインドの瞑想センターに移り、無料で診療しながら静かな余生を送り、1981年に91才で永眠しました。

Dr.ストーンの探求は古今東西の宗教や哲学、形而上学、神秘学、神智学、カバラ、占星術、インド思想、ヨガ、瞑想などの知識や実践に及びました。ポラリティセラピーは、彼の、生命や霊性や幸福に関する深い洞察に基づいています。

2024.10.30 Wednesday